問題:床から離れる条件
図1に示すように質量\(2.0\,\text{kg}\)の物体を水平な床面に置き、
物体上面にばね定数\(49\,\text{N/m}\)のばねを取り付けて鉛直上向きに引き上げた。
重力加速度を\(9.8\,\text{m/s}^2\)として以下の問いに答えよ。
問1 ばねの伸びが\(0.1\,\text{m}\)となるときに床から受ける垂直抗力の大きさを求めよ。
問2 物体が床面から離れるときのばねの伸びを求めよ。
〔解き方〕
〔公式〕
◆力のつり合い
・鉛直軸方向について
\(0=F \cdots (1)\)
今回の問題では、物体は静止し続けているので力のつり合いを立てて問題を解きます。以下のステップに従って立式しましょう。
ステップ1:力の図示
物体には図2に示すような力が働いてます。これらの力を漏れなく列挙するには、
①遠隔力…離れていても働く力
②接触力…接しているときに働く力
に分けて図示するとよいでしょう。これまでに学習した遠隔力は重力だけなので、まずはそれを素直に図示します。
一方、これまでに学習した接触力には張力や弾性力など様々あります。
こうした接触力は、対象物体が他の何かと接していたらそこに働くと考えます。
今回であれば、物体は床面やばねと接しているので、そこに力が働くと考えて図示します。
ステップ2:軸を定める
力のつり合いの式には、当然 ”力” が含まれますが、これはベクトル量なので大きさと向きをもちます。 そのため軸を定めて、軸と同方向の力は正、軸と逆方向の力は負として向きを取り扱う必要があります。 尚、今回は鉛直方向の運動を扱うので軸は1つだけ必要になります。 鉛直方向に\(y\)軸を定めておきましょう(図3)。
ステップ3:立式する
力のつり合いを簡単に説明すると、着目する方向に働く全ての力を合わせて\(0\)になるという式です。 今回であれば、着目する方向は鉛直方向であり、全ての力とは床から受ける垂直抗力とばねの弾性力です。 向きを考慮してこれらの力を足し合わせ、\(0\)になるという式を書けば、条件代入後の式(1)のようになります。
ステップ4:連立して解く
条件代入後の式(1)から未知数を求めます。ここは、数学的に考えて解けばokです。 具体的には、式(1)に未知数\(N\), \(x\)が含まれているので、 式1つに対して未知数2つとなり、このままでは解けません。 こうした場合は、問題文から条件を読み取ってさらに立式できる式がないか考えましょう。 これ以降の計算結果は[解答と解説]を参照してください。
力のつり合いの詳細はコチラ!(Map)〔解答と解説〕
問1
答え:\(15\,\text{N}\)
[解き方]の条件代入後の式(1)と、問(1)の条件\(x = 0.1\,\text{m}\)を用いて解きましょう。
\(
\begin{align*}
0 &= N – 2.0\times 9.8+ 49\times x \\
0 &= N – 2.0\times 9.8+ 49\times 0.1 \\
N &= 14.7\\
&\approx 15\\
\end{align*}
\)
問2
答え:\(0.40\,\text{m}\)
[解き方]の条件代入後の式(1)と、問(2)の問題文から読み取れる条件から解きましょう。
「物体が床面から離れる」とあり、このとき床から受ける垂直抗力は\(0\)になるはずです。よって、
\(
\begin{align*}
0 &= N – 2.0\times 9.8+ 49\times x \\
0 &= 0 – 2.0\times 9.8+ 49\times x \\
x &= \frac{19.6}{49}\\
&= 0.40\\
\end{align*}
\)