問題:等加速度運動と\(v-t\)グラフ
図1に示す\(v-t\)グラフのように速度が変化する物体について以下の問いに答えよ。
問1 \(t=0 ~ 2.0\)の加速度を求めよ。
問2 \(t=2.0 ~ 4.0\)の加速度を求めよ。
問3 \(t=4.0 ~ 6.0\)の加速度を求めよ。
問4 AB間の距離を求めよ。
問5 AC間の距離を求めよ。
問6 AD間の距離を求めよ。
問7 AE間の距離を求めよ。
問8 \(a-t\)グラフを描け。
問9 \(x-t\)グラフを描け。
〔解き方〕
〔公式〕
◆等加速度運動の公式
\(v = v_0 + at \cdots (2)\)
\(x = x_0 + v_0t + \frac{1}{2}at^2 \cdots (3)\)
\(v^2 – v_0^2 = 2a(x-x_0) \cdots (4)\)
等加速度運動を扱う上では、まずその運動の加速度\(a\), 初速度\(v_0\), 初期位置\(x_0\)求める必要があります。
これらは問題文中に与えられている場合もあれば、そうでない場合もあります。
特に加速度は与えられていないことが多く、その場合は式(1)や\(v-t\)グラフを用いて求めます。
加速度\(a\), 初速度\(v_0\),
初期位置\(x_0\)が分かってしまえば、これらを式(2)~(4)に代入することで位置\(x\)と速度\(v\)と時刻\(t\)の関係を求めることができます。
例えば、条件代入後の式(2)なら\(t\)と\(v\)が未知数として式に含まれているので、\(t\)が分かれば\(v\)を求めることができますし、逆に\(v\)が分かれば\(t\)を求めることもできます。
式(3)には未知数\(t\)と\(x\)が含まれ、式(4)には未知数\(v\)と\(x\)が含まれており、こうした未知数に対して、設問で与えられる条件と求めたいものから使う式を判断します。
ただし、今回は
・\(v-t\)グラフの傾きが加速度になること
・\(v-t\)グラフの面積が変位になること
を利用して問題を解くこともできます。
〔解答と解説〕
問1
答え:\(a = 2.0\,\text{m/s}^2\)
\(t=0\) ~ \(2.0\)における速度の変化\(\Delta v\)=\(4.0 – 0\)なので式(1)より、
\(a = \frac{\Delta v}{\Delta t} = \frac{4.0 – 0}{2.0 – 0} = 2.0\,\text{m/s}^2\)
(図2の黄線部分の傾きを求めるのに同じ)
問2
答え:\(a = 0.0\,\text{m/s}^2\)
\(t=2.0\) ~ \(4.0\)における速度の変化\(\Delta v\)=\(4.0 – 4.0\)なので式(1)より、
\(a = \frac{\Delta v}{\Delta t} = \frac{4.0 – 4.0}{4.0 – 2.0} = 0.0\,\text{m/s}^2\)
(図3の黄線部分の傾きを求めるのに同じ)
問3
答え:\(a = -4.0\,\text{m/s}^2\)
\(t=4.0\) ~ \(6.0\)における速度の変化\(\Delta v\)=\(-4.0 – 4.0\)なので式(1)より、
\(a = \frac{\Delta v}{\Delta t} = \frac{-4.0 – 4.0}{6.0 – 4.0} = -4.0\,\text{m/s}^2\)
(図4の黄線部分の傾きを求めるのに同じ)
問4
答え:\(x_{AB} = 4.0\,\text{m}\)
\(v-t\)グラフの面積が変位を表すので\(t=0\) ~ \(2.0\)の間においてそれを求めると(図5)、
\(x_{AB} = 2.0\cdot 4.0\div 2 = 4.0\,\text{m}\)
(別解)
\(t=0\) ~ \(2.0\)の間、初速度\(v_0=0\)、加速度\(a=2.0\)で進んでいる。式(3)より、
\(x_{AB} = x_0 + v_0 \cdot t + \frac{1}{2}a \cdot t^2 = 0 + 0 \cdot 2.0 + \frac{1}{2} \cdot 2.0 \cdot
(2.0)^2 =
4.0\,\text{m}\)
問5
答え:\(x_{AC} = 12.0\,\text{m}\)
\(v-t\)グラフの面積が変位を表すので\(t=0\) ~ \(4.0\)の間においてそれを求めると(図6)、
\(x_{AC} = x_{AB} + 2.0\cdot 4.0 = 12.0\,\text{m}\)
(別解)
\(t=2.0\)を初めの時刻と見立てて、このときの(初期)位置\(x_0=4.0\)、(初)速度\(v_0=4.0\)、\(t=4.0\)までの2.0秒間は加速度\(a=0\)で移動している。
よって式(3)より、
\(x_{AC} = x_0 + v_0 \cdot t + \frac{1}{2}a \cdot t^2 = 4.0 + 4.0\cdot 2.0 + \frac{1}{2} \cdot 0\cdot
2.0^2 =
12.0\,\text{m}\)
問6
答え:\(x_{AD} = 12.0\,\text{m}\)
\(v-t\)グラフの面積が変位を表すので\(t=0\) ~ \(6.0\)の間においてそれを求めると、\(t=4.0\) ~ \(6.0\)では正の変位と負の変位が打ち消すと分かるので(図7)、
\(x_{AD} = x_{AC} + 0 = 12.0\,\text{m}\)
(別解)
\(t=4.0\)を初めの時刻と見立てて、このときの(初期)位置\(x_0=12.0\)、(初)速度\(v_0=4.0\)、\(t=6.0\)までの2.0秒間は加速度\(a=-4.0\)で移動している。
よって式(3)より、
\(x_{AD} = x_0 + v_0 \cdot t + \frac{1}{2}a \cdot t^2 = 12.0 + 4.0\cdot 2.0 + \frac{1}{2} \cdot
(-4.0)\cdot
2.0^2 =
12.0\,\text{m}\)
問7
答え:\(x_{AE} = -4.0\,\text{m}\)
\(v-t\)グラフの面積が変位を表すので\(t=0\) ~ \(10.0\)の間においてそれを求めると(図8)、
\(x_{AE} = x_{AD} + (-4.0)\cdot 4.0 = -4.0\,\text{m}\)
(別解)
\(t=6.0\)を初めの時刻と見立てて、このときの(初期)位置\(x_0=12.0\)、(初)速度\(v_0=-4.0\)、\(t=10.0\)までの4.0秒間は加速度\(a=0\)で移動している。
よって式(3)より、
\(x_{AE} = x_0 + v_0 \cdot t + \frac{1}{2}a \cdot t^2 = 12.0 + (-4.0)\cdot 4.0 + \frac{1}{2} \cdot
0\cdot
4.0^2 =
-4.0\,\text{m}\)
問8
答え:図9参照
\(t=0 ~ 2.0\)の加速度は\(a = 2.0\,\text{m/s}^2\)
\(t=2.0 ~ 4.0\)の加速度は\(a = 0\,\text{m/s}^2\)
\(t=4.0 ~ 6.0\)の加速度は\(a = -4.0\,\text{m/s}^2\)
\(t=6.0 ~ 10.0\)の加速度は\(a = 0\,\text{m/s}^2\)
となるので図9の黄線のようになる。
問9
答え:図10参照
\(t=0\)で\(x=0\)
\(t=2.0\)で\(x=4.0\)
\(t=4.0\)で\(x=12.0\)
\(t=6.0\)で\(x=12.0\)
\(t=10.0\)で\(x=-4.0\)
となる。これらグラフの通る点と、\(v-t\)グラフが\(x-t\)グラフの傾きを表すことを利用すると図10の黄線のようになる。