高校物理の問題解説: 速度の合成

問題:速度の合成

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図1に示すように、右向きに\(3.0\,\text{m/s}\)で流れる川で船が運動している。 各設問の条件において、船の合成速度の大きさ(岸から見た速さ)を求めよ。 ただし、船は静水上であれば\(4.0\,\text{m/s}\)で運動する。
問1 右向きに船首を向けた場合
問2 左向きに船首を向けた場合
問3 上向きに船首を向けた場合
問4 合成速度が上向きとなるように船首を向けた場合


   

〔解き方〕

   

 〔公式〕

 ◆速度の合成の公式 

  \(\vec{v} = \vec{v_1}+\vec{v_2} \cdots (1)\)

速度(ベクトル)の合成は、単純に “足し算” をするばかりではありません。 「二つの速度の向きに合った計算をする」ということが重要になります。
具体的には、一方の速度の終点と他方の速度の始点をつなげる形で作図して合成を行います。このとき、作図される様子が船首の方向によって変わる為、設問によって結果が変わってきます。 具体的にどのような作図状態になるかは、各設問の解答を参照してください。

速度の合成の詳細はコチラ!(Map)
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〔解答と解説〕

問1

 答え:\(7.0\,\text{m/s}\)

船が右向きに船首を向けた場合、図2のように速度は合成されます。よって計算としては二つの速さの和をとればよく、
\(v = 3.0 + 4.0 = 7.0\,\text{m/s}\)


問2

 答え:\(1.0\,\text{m/s}\)

船が左向きに船首を向けた場合、図3のように速度は合成されます。よって計算としては二つの速さの差をとればよく、
\(v = 3.0 – 4.0 = – 1.0 \,\text{m/s}\)
ここで、求めるものは合成速度の大きさ(速さ)なので、計算結果の大きさをとり\(1.0\,\text{m/s}\)となります。


問3

 答え:\(5.0\,\text{m/s}\)

船が上向きに船首を向けた場合、図3のように速度は合成されます。よって計算としては二つの速さに対して三平方の定理を適用し、
\((v)^2 = (3.0)^2 + (4.0)^2\)
\(v^2 = 25\)
\(v = \sqrt{25}\)
\(v = 5.0\,\text{m/s}\)


問4

 答え:\(2.6\,\text{m/s}\)

合成速度が上向きとなる方向に船首を向けた場合、図4のように速度は合成されます。よって計算としては二つの速さに対して三平方の定理を適用し、
\((4.0)^2 = (3.0)^2 + v^2\)
\(v^2 = 7.0\)
\(v = \sqrt{7.0}\)
\(v \approx 2.6\,\text{m/s}\)