高校物理の問題解説: 浮力による静止

問題:浮力による静止

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図1に示すように計りの上に水の入った容器を乗せ、鉄球に軽い糸を取り付けて水中で吊るした。 水の密度は\(\rho_w\), 体積は\(V_i\)、鉄球の密度は\(\rho_i\), 体積は\(V_i\)、容器の質量は無視でき、重力加速度は\(g\)として以下の問いに答えよ。
問1 糸の張力の大きさを求めよ。
問2 容器が計りから受ける垂直抗力の大きさを求めよ。


   

〔解き方〕

   

 〔公式〕

 ◆力のつり合い 

・鉄球の\(y\)軸方向について
  \(0=F \cdots (1)\)
・水と容器の\(y\)軸方向について
  \(0=F \cdots (2)\)

今回の問題では、各物体は静止し続けているので力のつり合いを立てて問題を解きます。以下のステップに従って立式しましょう。

ステップ1:力の図示

鉄球に働く力を図2に、水と容器に働く力を図3に示します。 これらの力を漏れなく列挙するには、
 ①遠隔力…離れていても働く力
 ②接触力…接しているときに働く力
に分けて図示するとよいでしょう。これまでに学習した遠隔力は重力だけなので、 まずはそれを素直に図示します。鉄球であれば\(\rho_i V_i g\)となりますし(図2)、 水であれば\(\rho_w V_w g\)となります(図3)。「容器の質量は無視できる」と問題文に ありますので、容器の重力は考えません。
次に接触力ですが、これまでに学習した接触力には張力や弾性力など様々あり、 今回のテーマである”浮力”も接触力のひとつです。 こうした接触力は、対象物体が他の何かと接していたらそこに働くと考えます。 鉄球であれば、糸や周囲の水と接しているので張力と浮力が働くと分かります。 水と容器であれば、鉄球や計りと接しているので、浮力の反作用と垂直抗力が働くと分かります。

ステップ2:軸を定める

力のつり合いの式には、当然 ”力” が含まれますが、これはベクトル量なので大きさと向きをもちます。 そのため軸を定めて、軸と同方向の力は正、軸と逆方向の力は負として向きを取り扱う必要があります。 今回は、力が鉛直方向だけに働くので図4のように\(y\)軸を定めればよいです。

ステップ3:立式する

力のつり合いを簡単に説明すると、着目する方向に働く全ての力を合わせて\(0\)になるという式です。 具体的には\(y\)軸と同方向の力を正、逆方向の力を負として足し合わせ、\(0\)になるという式を書きます。 これを鉄球について立てれば条件代入後の式(1)のようになり、水と容器について立てれば条件代入後の式(2)のようになります。

ステップ4:連立して解く

条件代入後の式(1), (2)を用いて未知数を求めます。ここは、数学的に考えて解けばokです。 これ以降の計算結果は[解答と解説]を参照してください。

力のつり合いの詳細はコチラ!(Map)
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〔解答と解説〕

問1

 答え:\((\rho_i – \rho_w) V_i g\)

[解き方]の条件代入後の式(1)を用いて解きましょう。
\( \begin{align*} 0 &= – \rho_i V_i g + \rho_w V_i g + T\\ T &= \rho_i V_i g – \rho_w V_i g\\ &= (\rho_i – \rho_w) V_i g\\ \end{align*} \)


問2

 答え:\(\rho_w (V_w + V_i) g\)

[解き方]の条件代入後の式(2)を用いて解きましょう。
\( \begin{align*} 0 &= – \rho_w V_w g – \rho_w V_i g + N\\ N &= \rho_w V_w g + \rho_w V_i g\\ &= \rho_w (V_w + V_i) g\\ \end{align*} \)