高校物理の問題解説: 斜方投射

問題:斜方投射

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図1のように、地上から仰角\(\theta\)の方向に初速度\(v_0\)で物体を斜方投射した。 以下の問いに答えよ。ただし、重力加速度の大きさを\(g\)とする。
問1 物体が最高点に達する時刻を求めよ。
問2 最高点の高さを求めよ。
問3 地上に落下する時刻を求めよ。
問4 水平到達距離を求めよ。
問5 水平到達距離が最大となる仰角\(\theta\)を求めよ。
必要であれば\(2sin\theta cos\theta = sin2\theta\)を用いてよい。


   

〔解き方〕

   

 〔公式〕

 ◆等加速度運動の公式 

・\(x\)軸方向について
  \(v_x = v_{0x} + a_x t \cdots (1)\)
  \(x = x_0 + v_{0x} t + \frac{1}{2}a_x t^2 \cdots (2)\)
  \({v_x}^2 – {v_{0x}}^2 = 2a_x (x-x_0) \cdots (3)\)
・\(y\)軸方向について
  \(v_y = v_{0y} + a_y t \cdots (4)\)
  \(y = y_0 + v_{0y} t + \frac{1}{2}a_y t^2 \cdots (5)\)
  \({v_y}^2 – {v_{0y}}^2 = 2a_y (y-y_0) \cdots (6)\)

等加速度運動を扱う上では、まずその運動の加速度, 初速度, 初期位置を求める必要があります。 これらは問題文中に与えられている場合もあれば、そうでない場合もあります。 特に加速度は与えられていないことが多く、その場合は式(1)や\(v-t\)グラフを用いて求めます。
加速度\(a\), 初速度\(v_0\), 初期位置\(x_0\)が分かってしまえば、これらを式(1)~(6)に代入することで位置や速度や時刻の関係を求めることができます。
例えば、条件代入後の式(1)なら\(t\)と\(v\)が未知数として式に含まれているので、\(t\)が分かれば\(v\)を求めることができますし、逆に\(v\)が分かれば\(t\)を求めることもできます。
式(2)には未知数\(t\)と\(x\)が含まれ、式(3)には未知数\(v\)と\(x\)が含まれており、こうした未知数に対して、設問で与えられる条件と求めたいものから使う式を判断します。

ただし、今回の問題では物体は平面上を運動するので、\(x\)軸方向と\(y\)軸方向の運動を別々に考える必要があります。
自由落下・鉛直投げ上げ・鉛直投げ下げに代表されるような一直線上を運動する例であれば、ひとつだけ軸(多くの場合は\(x\)軸)を定めれば良いのですが、今回は軸が2つ必要です。
物体の初めの位置の真下の地上を原点として\(x\)軸、\(y\)軸を立てます(図2)。 そして、それぞれの方向における加速度, 初速度, 初期位置を整理して代入すると、上記の条件代入後の式(1)~(6)が得られます。

等加速度運動の詳細はコチラ!(Map)
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〔解答と解説〕

問1

 答え:\(t = \frac{v_0 sin\theta}{g}\)

[解き方]で紹介した条件代入後の式(1)~(6)の中から必要なものを用いて解いていきます。
物体が最高点に達するときに鉛直方向の速度\(v_y = 0\)が成り立ち(図3)、時刻\(t\)を求めるので\(t\)と\(y\)を含む式(4)を利用します。
\( \begin{align*} 0 &= v_0 sin\theta – g t\\ t &= \frac{v_0 sin\theta}{g} \end{align*} \)


問2

 答え:\(h = \frac{v_0^2 sin^2\theta}{2g}\)

[解き方]で紹介した条件代入後の式(1)~(6)の中から必要なものを用いて解いていきます。
物体が地上に達する時刻は問1で求めたとおり\(t = \frac{v_0 sin\theta}{g}\)であり(図4)、最高点の高さ\(y\)を求めるので、\(t\)と\(y\)を含む式(5)を利用します。
\( \begin{align*} y &= 0 + v_0 sin\theta \cdot \frac{v_0 sin\theta}{g} – \frac{1}{2}g\left(\frac{v_0 sin\theta}{g}\right)^2\\ &=\frac{v_0^2 sin^2\theta}{2g}\\ \end{align*} \)


問3

 答え:\(\frac{2v_0 sin\theta}{g}\)

[解き方]で紹介した条件代入後の式(1)~(6)の中から必要なものを用いて解いていきます。
物体が地上に達するときに\(y = 0\)が成り立ち(図5)、時刻\(t\)を求めるので\(t\)と\(y\)を含む式(5)を利用します。
\( \begin{align*} 0 &= 0 + v_0 sin\theta \cdot t + \frac{1}{2} (-g)t^2\\ 0 &= – \frac{1}{2} g t(t – 2\frac{v_0 sin\theta}{g})\\ \end{align*} \)


問4

 答え:\(\frac{2{v_0}^2 sin\theta cos\theta}{g}\)

[解き方]で紹介した条件代入後の式(1)~(6)の中から必要なものを用いて解いていきます。
物体が地上に達する時刻は問3で求めたとおり\(t = \frac{2v_0 sin\theta}{g}\)であり(図6)、水平到達距離(\(x\)軸方向の移動距離)を求めるので、落下時の\(x\)座標を求めればよく、\(t\)と\(x\)を含む式(2)を利用します。
\( \begin{align*} x &= 0 + v_0 cos\theta \cdot \frac{2v_0 sin\theta}{g}\\ x &= \frac{2{v_0}^2 sin\theta cos\theta}{g}\\ \end{align*} \)


問5

 答え:\(45 ^\circ\)

問4の結果に対して、問題の条件を適用すると水平到達距離は
\( \begin{align*} x &= \frac{2{v_0}^2 sin\theta cos\theta}{g}\\ &= \frac{v_0^2 sin(2\theta)}{g}\\ \end{align*} \)
と表され、これを最大化する\(\theta\)を求めるには、\(sin(2\theta)\)を最大化する\(\theta\)を求めればよい。位相が\(90^\circ\)のとき正弦関数は最大値1をとるので、
\(2\theta = 90^\circ\)となるとき、つまり\(\theta = 45^\circ\)のときに最大値をとります。